悠久の刻のなかで

アクセスカウンタ

当サイトに掲載の編集版小説及び関連CGは全て、良雄(Yoshio)が著作権を有しております。
「悠久の刻のなかで」は、「交易路ライゼン」で開催されるリレー小説です。

良雄(Yoshio)に無断で編集版小説及びCGを転載すること、
並びにライゼン様に無断でオリジナル版小説を転載することを禁じます。

「悠久の刻のなかで」インデックス

オリジナル版『悠久の刻のなかで』(継続中)
[001〜020] [021〜040] [041〜060] [061〜080] [081〜100]
[101〜120] [121〜140] [141〜160] [161〜180] [181〜200]
[201〜220] [221〜240] [241〜260] [261〜280] [281〜300]

編集版『悠久の刻のなかで・第一部』(全22頁)
[01頁] [02頁] [03頁] [04頁] [05頁] [06頁] [07頁] [08頁] [09頁] [10頁] [11頁]
[12頁] [13頁] [14頁] [15頁] [16頁] [17頁] [18頁] [19頁] [20頁] [21頁] [22頁]

02/22 頁

ひんやりとした感触が背中にある。どうやら俺はまだ生きているらしい。恐る恐る目を開け、立ち上がる。すると、目の前に、におよそこの場に似つかわしくない『社』が建っているのが映る。その向こうにも何か空間があるようだが、真っ暗で何も見えない。

「あれが…帝国への入り口か。」

俺は社に向かって、慎重に歩き始めた。幸い、七つ道具の入った鞄を失ってはいなかったので、得意のダウジングで辺りを探る。反応はすぐにあった。予想通り、社の方向から何かを感じる。

後頭部にチリチリと嫌な感じが渦巻く。辺りを見回しても…真っ暗な、何も無い空間が広がっている。上を見上げると、誰かが磨いたようなツルツルの壁が、視界を覆う。自分が落ちて来た流砂の穴がとんでもなく小さく見える。よく、あんなとこから落ちて無事だったものだ…。

「ち…、どうやら行くしかねえみたいだな。」

俺は呟くと、鞄の中から懐中電灯を取り出した。スイッチを入れると、眩いばかりの光が闇を照らす。…が、その光は、黒い壁に吸い込まれるように消えてしまった。俺は不思議に思い、その場所に手を触れようとした。その瞬間、バチバチと火花を散らし、俺の手は弾かれた。痛みに手を引き、後ずさると、闇の中から何かがあらわれた。

「くそ…っ、どうやら、住人以外は立ち入り禁止のようだな。」

闇の中から現れたのは、俺の膝ほどまでの大きさはある、蜘蛛のようなロボットだった。

「どうやら、この社の守護者みてーだな……。」

俺は弾かれた手を擦りながら呟いた。幸いにも、手の怪我は軽い火傷で済んでいる。不用意にあのまま突き進もうとしていたら、黒焦げにされていたに違いない。

「さて…コイツをどうしようか…。」

俺は蜘蛛と間合いを取りながら必死で考える。こういう時、一瞬でも気を抜けばその瞬間に殺られる。まったく、嫌な予感だけはいつも当たるんだよな…。

「キシャアァ……ッ!」

蜘蛛は低い唸り声と振動音をあげながら、俺との間合いを詰めようとする。俺はゆっくりと後ずさりながら、鞄の中からスタンガンを取り出す。こいつは野生動物に襲われた時の護身用として持ち歩いているのだが…はたしてコイツに通用するのだろうか。

慎重に、懐中電灯を蜘蛛に向ける。暗がりで見た時はロボットかと思ったが、少し異なるようだ。表皮は機械のそれとは異なり、陶器のようにすべすべとして見える。唯一金属的なのは、足の部分だけだ。そして何より、コイツが機械ではない最大の証拠(かどうかは解らないが…)として、蜘蛛の額と思しき場所に、一枚の紙切れが張られている。それには奇妙な文様が刻まれている。文献で見たことがある…あれは…。

「式神符…? まさか…ここは21世紀の日本だぜ…。」

呟く声には、我ながら力がまったくこもっていなかった。蜘蛛は暗がりの中から完全に姿を現すと、口と思われる部分からシュルシュルと白い糸が吐き出し始めた。

「俺を糸で縛り、処理するつもりか…?」

俺は、自らが蜘蛛に喰われている場面を想像し、戦慄した。

「くそ…何か突破口は…?」

その時、俺はあることに気付いた。

「額のあの呪符…もしヤツが本当に式神だとしたら、あの呪符を取ってしまえばヤツは単なるガラクタに戻る筈だ。」

俺は、テレビや映画に出てくる式神を思い出した。そう考えがまとまった瞬間、蜘蛛が動き出した。俺は咄嗟に蜘蛛に向かってスタンガンを向ける…だが、蜘蛛の動きは予想外に速い。胴体から生えた足の先にローラーでも付いているのか、滑るようにして蜘蛛は闇の中に姿を眩ます。

「くそっ、どこだ!?」

俺は蜘蛛の姿を捉えるべく、懐中電灯を四方に向けた。しかし、どこを探しても蜘蛛の姿は見つからない。低い振動音がどこからとも無く不気味に響き渡る…。刹那、背後でバチッと音がした瞬間、蜘蛛は俺に飛びついてきた。振り向いた俺は為す術も無く床に押し倒される。眼前には蜘蛛の頭部が広がり、口からは糸が吐き出されている。俺は恐怖と嫌悪感に襲われながらも、蜘蛛の額にある呪符に目をやり、辛うじて動く方の腕を動かし、呪符を一気に引き剥がした。

「これで…どうだ!?」

だが、蜘蛛は何事も無かったかのように糸を吐き続ける。やはり、テレビの様にはいかないようだ。

「くそ…これまでか……。」

上半身の殆どが糸に包まれ、意識も遠退いて行く。薄れ行く意識の中で、俺は尚も生き残り策を模索し、ズボンのポケットの中を探る。指先に引っかかったのは、百円ライターの感触だ。

「畜生…ライターか…。ああ、最後に一服してえな…。」

呟いた瞬間、俺は気付いた。ライター…そう、ライターが出すものは何だ? …火だ! 俺はライターをズボンから引き抜き、蜘蛛に向かって火を放つ。

「ギシャアッ!?」

予想通り…ヤツも生物…。生物なら、当然本能で火を恐れる。蜘蛛が飛びのき、上半身から圧迫感が消える。俺は力を込めて糸を引きちぎり、すぐさま態勢を整える。

「そうかい……火が、怖いのかい…。」

俺は懐からタバコを取り出し、咥えながら火を付ける。その間も俺は蜘蛛から目を離さない。蜘蛛は俺の吸うタバコに目をやりつつも、動かない。俺は、時間をかけて煙を吸い込み、蜘蛛に向かって笑いかけた。

「トレジャーハンターってのはな…言わば墓泥棒よ。これまでにも色んな墓を漁って来た。だから…。」

俺はゆっくりと鞄の方向へ歩みを進める。蜘蛛も同様に動くが、決して間合いを詰めようとはしない。

「番犬には、慣れてるんだよ!」

素早く鞄の中に手を突っ込み、俺はあるものを探る。同時に蜘蛛が跳躍し、俺に襲い掛かる。

「喰らえ!」

シューッと大きな音をたて、同時に激しい炎を放つ。俺が鞄から取り出したもの…それは一本の塗装用スプレー缶だ。コイツと百円ライターを組み合わせて、即席の火炎放射器の出来上がりってわけだ。

放たれた炎は真っ直ぐに蜘蛛へと襲い掛かり、やがて蜘蛛もろとも激しく舞え上がる。数分の間それは燃え続け、あとにはどろどろに溶けた蜘蛛の無残な残骸だけだった。

「……ちょと、火力が強すぎたか。流石にビビッたぜ…。」

俺はぽりぽりと頬を掻きながら呟いた。

「悠久の刻のなかで」インデックス

オリジナル版『悠久の刻のなかで』(継続中)
[001〜020] [021〜040] [041〜060] [061〜080] [081〜100]
[101〜120] [121〜140] [141〜160] [161〜180] [181〜200]
[201〜220] [221〜240] [241〜260] [261〜280] [281〜300]

編集版『悠久の刻のなかで・第一部』(全22頁)
[01頁] [02頁] [03頁] [04頁] [05頁] [06頁] [07頁] [08頁] [09頁] [10頁] [11頁]
[12頁] [13頁] [14頁] [15頁] [16頁] [17頁] [18頁] [19頁] [20頁] [21頁] [22頁]

Kakurega Novel Ver.20060310
Written By 神剣士の隠れ家

現在、サイトの工事状況が中途半端なためレイアウトが崩れまくってるページが多数ありますがお気になさらず。

当サイトは主にInternet Explorer 8、時々Google Chrome、Mozilla Firefox 3.6で表示確認をしています。