悠久の刻のなかで

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「悠久の刻のなかで」は、「交易路ライゼン」で開催されるリレー小説です。

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「悠久の刻のなかで」インデックス

オリジナル版『悠久の刻のなかで』(継続中)
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編集版『悠久の刻のなかで・第一部』(全22頁)
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「そんなことが、あったのか…。」

シルエラの昔話を聞き終えた俺は、さっきまでの自分が恥ずかしく思えた。自分よりも幼い少女の方が、自分なんかよりも遥かに辛い目に遭っていたのだ…恥ずかしく思えて当然だろう。

「む…この気配は…!」

昔話を終えたシルエラは暫くの間悲しみの表情をしていたが、突然さっきまでの表情に戻り、辺りを見回し始めた。

「どうしたんだ?」

「近い…この気配…白龍のような雑魚ではない…これは…!」

シルエラが突然辺りを見回すのをやめ、空中の一転を見つめた。俺も慌ててその方向を見やるが、何も見えない。

「…来る!」

彼女が言葉を発すると同時に、俺の視界に何者かの姿が移った。同時に、もの凄い威圧感を感じる。

「貴殿がシルエラ殿の見初めた主であるな? 貴殿の力、拝見致そう!」

現れたのは、赤い髪に長い髭の巨漢…どこかで見たことのあるこの男は…。

「貴殿がシルエラ殿の主だな…儂の名は関羽。いざ、尋常に勝負!」

関羽と名乗った巨漢は、その身を変異させながら、地面へと降り立った。

「な…あ…っ!?」

先程まで関羽の姿をしていた者は、もはや人の原型をとどめてはいなかった。青龍偃月刀を握っていた腕は刀と融合し、赤兎馬のような四足を携えたそいつは、もはや人とは言えない。

「赤髪鬼…。」

俺は関羽に対し、言いようの無い恐怖を覚えた。

「…いざ、参る!」

関羽がボソリと呟くと、右腕…青龍偃月刀から雷光の様な一閃が降り注いだ。

「くあっ!?」

俺は体勢を崩しながらもなんとかそれを避けた。同時に背後で爆音が鳴り響き、背後の地面が衝撃波で消し飛んだ。流石は関羽…五虎大将の筆頭だ。

「まったく…恐れ入るぜ!」

悪態をつきながら、俺は関羽の猛攻をかわす。我ながらどこにこれだけの身体能力があったのか、いささか驚く。シルエラが、こちらに何かを叫びながら駆け寄ってくる。

「圭一、早く…儂の名を呼べ!」

「く…シル……ぐわっ!?」

『銀の大帝《シルバーエンペラー》』の名を叫ぼうとした瞬間、再び雷光が飛んでくる。何とか直撃は免れたものの、爆風だけでかなりのダメージだ。

「儂は貴殿の力が知りたい。貴殿がシルエラ殿の主として相応しいか、な。『銀の大帝《シルバーエンペラー》』の力に頼るな! 己の身一つで儂と闘え!」

「くぅ…くそ、どうしろって言うんだ?」

爆風だけだというのに、俺のダメージはかなりでかい。起き上がろうとするが、足に中々力が入らない。

「やめろ、関羽!」

見上げるとそこには、シルエラが立っていた。俺をかばうように、関羽と俺の間に立っている。

「そうだな…その位にしておいて貰おうか。」

もう1つ…聞き覚えのある声がする。この声は…。

「は、白龍!?」

「久し振りだな…といっても、そう日は経っておらんな。」

関羽の背後には、あの白龍の姿があった。まさか、生きていたとは…。

「ぬぅ、子龍か…邪魔立てするでない!」

「そうは参りません…髭殿、あやつとの勝負は私が先約です。どうか剣をひいて頂こう。」

「…兄者が、そう申されたのか?」

「しかり。圭一殿、常山の趙子龍…改めて、参る!」

白龍は、関羽と俺との間に割って入ると、シルエラを退け、剣を構える。しかし…まさか白龍があの、翊軍将軍趙雲とは…。

「ぬんっ!」

白龍の振るう刀の切っ先が俺の頬をかすめる。

「うわ!」

「どうした、逃げ回るだけか?」

逃げ回るもくそも…丸腰の俺に、一体を何を期待してるんだよ! 胸中でそう毒づいたとき…。

「圭一、これを!」

シルエラの叫び声と同時に、何かが放り投げられて来た。振り向きざまに俺が受け取ったもの…それは、一振りの刀だった。

「そ、それは!」

白龍と関羽が同時に叫ぶ。シルエラは彼等の驚く顔を見ると、ニヤリと笑い、言葉を続けた。

「それは龍族に伝わる宝刀…『螺旋』じゃ。圭一、そやつらをそれで切るが良い!」

「ひゅぅ…ありがたいね。もっとも…刀なんて使ったことないけどよ!」

俺はそう言うと刀を正眼に構えた。今まで刀なんて構えたことがないのに自然に刀を構えた自分を、ひどく不思議に思う。

それにしても…長い刀だな。刃渡りだけで1m半はありそうだ。こんなものをシルエラはどこに隠し持っていたのかと疑問に思うが、すぐさま気付いた。そうだよ…あいつは『銀の大帝《シルバーエンペラー》』にだって変身するんだ、驚く必要はないんだよ…。

「ふんっ!」

自ら気合を入れると同時に白龍を牽制するため、刀を一振りする。そして改めて刀をみる。造りは日本刀のようだが…細く、長い。鍔には球を持った龍の装飾が施され、波紋は丁子の乱刃…火焔の鋩子がいかにも美しい。…ただ、俺はトレジャーハンターだ、刀の良し悪しは判っても、剣をたしなんだことがあるわけじゃない。いまこの時は、それが問題なのだが…。

ふと辺りを見やる。いつの間にか夕方だ。馬蹄の音が街外れの住宅地に響きわたる。辺りの小動物は逃げ出し、鎖でつながれたペット達は、逃げ出す術を知らず恐怖に怯えていた。不思議なことに、通行人の影は見当たらない。ついさっき関羽によって街路樹や信号が薙ぎ倒されたと言うのに、人の姿は一人としていない。まるで、人間全てが消えてしまったかのようだ。ちらりと盗み見ると、少し離れた場所でシルエラと関羽が対峙していた。関羽はいつのまにか、もとの人間の姿に戻っている。

「暇そうじゃの、関羽。」

「子龍が兄者の名を受けたと言うのであれば、儂は手を出せぬからの。」

関羽は、心底面白くなさそうに顔をしかめる。

「腐るな。なんなら、儂がお主の相手をしようか?」

「姫が…? 御冗談を、あなたの様な非力な身体で、儂に適う筈がありますまい。」

関羽は嘲笑し、青龍偃月刀を振りかざした。

「ふん…それは、こいつを見てから言って貰いたいものじゃな。」

言い放つとシルエラは、虚空から一振りの刀を出現させた。

「それはまさか…鬼族の至宝『細雪』!?」

関和はシルエラの取り出した刀を見てまたもや驚愕した。あれは…前に古い文献で見たことがある。鬼族に伝わると言う伝説の至宝…『細雪』。…『螺旋』といい、『細雪』といい…どうして彼女は両族の至宝を持っているんだ?

「…遥か昔に消息不明となった至宝を、ふた振りとも貴女が持っていた…? これは一体…!」

ふた振りめの至宝の出現にうろたえる関羽だが、やがて何かに気付いたのか、不意に顔を上げてシルエラを見る。

「そうか! 姫の母、鏡妃が嫁ぐとき、護弦に貢いだという話は本当であったか。…ふっ、面白い! シルエラ殿、暫し儂との手合わせを願おうか!」

咆哮し、関羽は青龍偃月刀を構える。シルエラは無言で『細雪』を構えた。あの華奢な身体のどこに力があるのか、2kgは軽くあるであろう刀を、片手で楽々と構えている。

「おうおう、関羽よお…テメエ、俺が居ねえ間に随分と面白えことしてんじゃねえか、え!?」

シルエラと関羽、そして俺と白龍が互いに対峙し、動いた瞬間、割れ鐘の様な声が響いた。声のした方向を見ると、またもやイカツイ男が飛んできた。

「…まったく、次から次へとキリがねえな。」

俺はぼやいたが、同時に気付いた。白龍も関羽も、共に厳しい表情で男を見ているのだ。どういうことだ? こいつは、奴等の仲間じゃないのか…?

「貴様…呂布! 何故此処に!?」

「何故だぁ…? テメエ等、あんなチンケな封呪でこの俺様を封じたつもりだったのか? 随分と舐められたもんだな!」

カギの付いた変形槍…方天画戟が唸りをあげる。

「おい、そっち小っせえお前等、圭一と…シルエラっつったな? 関羽と、そっちの子龍って奴は、どうにも虫が好かねえんだよ。俺が力貸してやっから、さっさと片付けちまおうぜ!」

「…なんか、スゲエことになってきたな。」

俺の呟きも無視し、呂布は槍を肩に勢い付いている。

「じゃ…二人まとめて掛かってこいや。なんなら、張飛も呼ぶか?」

呂布は完全に二人を挑発している。その明らかな挑発は、俺ですらも呂布の作戦だと解った。…だが。

「おのれ呂布!子龍、先ずはこやつを片付けるぞ!」

「…仕方がありませんね。呂布よ、私と圭一殿との勝負を阻害した罪…死を以ってあがなって頂きましょうか?」

二人とも、完全にやる気満々だ。もはや完全に俺達は会話の中から外れている。しかし…これは逆にチャンスじゃないのか? 考えるより、まずはこの場を凌ぐことが先決…俺はそう考えると、シルエラに対し目線で合図を送ると、そろそろと後ずさりを始めた。すぐに隣にやって来たシルエラの耳元で、奴等に気取られないように小声で言う。

「逃げるぜ。」

俺の言葉を聞くと、彼女は眉をピクリと上げて、非難の目で俺を見る。

「ドサクサに紛れて逃げると言うのか? しかし…それはいささか卑怯では…。」

「でもよ、あっちはあっちで結構忙しそうだし…。」

「ふむ…確かに。」

俺の言葉に、あっさりと納得する。もしかして、シルエラって結構単純な性格なのか?

「三十六計逃げるにしかず…それじゃ、気付かれないうちにおいとましましょうか?」

俺達は徐々に徐々に後退し、頃合を見計らって一気に走り出した。幸いにも、奴等は気付いていない。走り去る俺達の背後で、激しい激突音だけが響いていた。

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Kakurega Novel Ver.20060310
Written By 神剣士の隠れ家

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