悠久の刻のなかで

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「悠久の刻のなかで」は、「交易路ライゼン」で開催されるリレー小説です。

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「悠久の刻のなかで」インデックス

オリジナル版『悠久の刻のなかで』(継続中)
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編集版『悠久の刻のなかで・第一部』(全22頁)
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「ぐ、くうぅ…。」

気が付くとそこは、狭い室内だった。妙に浮遊感を感じる…何だろうか?

「こ、ここは…?」

俺は、ボーっとする意識をハッキリさせようとしながら、辺りを見回す。明かりは一切無く、周囲は闇に包まれている。だが俺は夜目が効くほうだ…徐々に闇に目を慣らしていく。そしてうっすらと浮かび上がってきた景色、それは…。

「遊園地?」

室内にある小さな窓から見える風景は、まさしく遊園地のものであった。ジェットコースターのレールに、メリーゴーラウンドらしき丸い建物が見える。どうやら俺は今、観覧車の中にいるらしい。

「こ、これは…。」

俺の乗る観覧車が段々と地上に近づくに連れて、園内の異様な光景が目に入ってきた。血液が溢れるほど注がれたコーヒーカップ…串刺しになり、回転しているメリーゴーラウンドの馬。

「なんだよ、これ?」

異常なのはそれだけではない。どうやら今は夜らしく、周囲に明かりは無い為、園内は真っ暗だ。当然、月の光だって無い。…なのに、異常な光景は目に付く。まるで、それ自身が光を放つかのように…。

とその時、俺の視線はある一点で完全に固定されてしまった。ジェットコースターのレールの柱に吊るされる人影…しかもあれは…。

「シルエラ!」

俺は柱に彼女の姿を見つけ、叫び声を上げるが、当然声が届く筈もない。意識を失っているのか、彼女はぐったりとうなだれたまま動かない。

「くそ!」

同時に、俺の乗る観覧車は地上へと到達した。扉を開けるのももどかしく、俺は扉を蹴破ると、シルエラが吊るされている柱を目指して走り出した。だがその時、目の前に不気味な黒い集団が現れた。そいつ等は、ところどころに血の付いたボロボロの服を着、焦点の定まらない眼でこちらを見ながら、よろよろを歩みを進めている。間違いない…こいつ等はゾンビだ。俺は、エジプトのファラオのピラミッドを調査した時に遭遇したゾンビを思い出していた。何者かによって人為的に創られた不完全な生命体…そんな奴等に対する有効手段はただ一つ!

「じゃまだ、どけぇ!」

俺の叫びと同時に、凄まじい爆音が辺りに鳴り響いた。爆音の元は、俺が懐から取り出した銃…デザートイーグルだ。こういうものはあまり好きではないが、職業上、いざという時の為に持っていた。文字通り、最後の切り札だ。

「ゾンビの弱点は頭を吹っ飛ばすこと…テメエ等、悪いが、俺の邪魔はさせねえぜ!」

知能を持たないゾンビを相手にすることなど、対抗策を知っている者にとっては赤子の手を捻るより容易いこと…俺は走りながら、近づいてくるゾンビどもの頭を次々と吹っ飛ばしていった。銃の威力は凄まじく、時には4〜5人の頭を一気に吹っ飛ばしてくれる。

「シルエラー!」

弾丸もそろそろ底を尽きかけてきた頃、俺はようやくシルエラが吊るされている柱の真下まで辿り着いた。

「待ってろ、今助けるからな!」

振り切ったのだろうか、後ろを付いて来るゾンビの数が圧倒的に減っている。だが、そんなことはどうでも良かった。俺は近づいて来る最後のゾンビを片付けると、柱をのぼり、彼女を助けようとした。

「よく、ここまで辿り着いたな…。流石としか、言いようがあるまい。」

俺が柱に手をかけると同時に、背後から人の声がした。俺は慌てて柱から手を離すと、一度はしまった銃を再び構え、声がした方向を見る。

「!」

目の前に立っていたのは、虎…いや、人なのか? 俺が見たのは、虎の頭をした人間だった。言うなれば、獣人ってところだろう。

「古来よりこの地には、龍、鬼、そしてもう一つ、虎の種族がいた。知っておるかな?」

「虎の種族?テメエ、訳の解らねえことをうたってんじゃ…。」

「まあ聞け、お主にとって、重要な話でもある。」

俺が銃口を向けると、虎頭の男は軽く手を揚げ、俺の言葉を遮った。

「…古来よりこの三族はの…争いを続けておったのだよ。北に鬼族、南西に龍族、そして、南東に虎族を抱えていたその地は…今では確か、中国と呼ばれる地だ。」

「なんだと!?」

北と南西と南東に位置する三つの国…しかもそれが、今の中国だと? じゃあまさか…。

「お主等人間が、『三国志』と命名した物語だよ…。本来の『三国志』は2000年前の出来事などでは無い。もっと遥か昔…2万年は過去の話なのだ。お主等の語る三国志は、ただの歴史の断片だ。後の世の人間が国を統制する為に、僅かに残る資料を集め、膨大な量に昇る歴史物語を組み上げた…と言うわけだよ。」

常識外れもいいところだ。俺達の知る三国志が、作られた物語だってのか?

「…話がそれてしまったな。」

俺が異常な状況に付いて行けてないのも無視して、虎頭の男は更に話を続ける。

「そこである一人の男が、三国を統一し、真に平和な世界を築く為に戦いを続けていた。だがその男は結局龍族のみに加担してしまい、結果、我等三国は全て滅んだ。その後に生まれたのが『妖鬼帝国』だが、それもすぐに滅んだ。そして…その遥か後に、お主等人間の社会が生まれたのだ。」

「そんなことが…。」

依然として話の内容は眉唾なものだったが、男の言葉には得体の知れぬ説得力があった。俺は段々と、『もう一つの三国志』に聞き入りつつあった。

「…呑気に構えている場合ではないのだがな。」

「え?」

俺がボーっと話しに聞き入っていると、突然男の非難の声が飛んで来た。

「その男は、お主の転生前の男だ。名は…そう、諸葛亮孔明と言った。思い出せ、自らに課した使命を! 同じ過ちを二度と犯さぬように転生を目指したお主の使命を思い出すのだ! ……我は虎族の孫権。かつて、お主と共に三族の融和を目指した者だ。」

「俺が…あの天才軍師、諸葛亮孔明の生まれ変わりだってのか?」

「…公謹、思い出させてやれ。」

「はっ。」

孫権の命令に答え、現れたのは、美青年と呼ぶのが相応しいであろう男だった。孫権の側近で、しかも美男子とくれば…多分、周瑜公謹だろう。

「孔明よ、我等と共に力を合わせ、曹賊を打ち破ったあの大戦を覚えているか?」

「…。」

俺は何も言わなかった。こいつが言いたいことは大体解る。恐らく大戦ってのは、『赤壁の戦い』のことだろう。だが俺は戦いについて詳しい情報を持っていない。下手に口裏を合わせるよりも、知らないことを悟らせた方が後々楽に済むと思ったからだ。だが、俺の読みは見事に外れた。周瑜は軽く溜め息をつくと、凄まじい殺気を放ちながら睨みつけてきたのだ。

「仕方がないな…手荒に扱うこと、許されたし!」

直後、俺は背後から周瑜に羽交い絞めにされ、短剣を首筋に突きつけられた。こいつがいつ動いたのかも解らない…あっという間の出来事だった。

「うおおーっ!」

短剣の切っ先が俺の首筋に触れ、死を覚悟した瞬間、どこからか大声が響いて来た。聞き覚えのあるこの声…これは。

「しまった、呂布か!?」

「どぉりゃあぁっ!」

孫権が叫び、上を見上げた瞬間、上空から呂布が降って来た。呂布は俺の後ろにいる周瑜に切りかかったらしく、俺のすぐ後ろで着地音が聞こえた。だが既に、周瑜の姿はそこにはなかった。いつの間に移動したのか、再び孫権の傍らに立っている。

「よう圭一。姫さんの頼みだ、助けに来てやったぜ!」

「え!?」

「圭一! そやつ等の妄言にたぶらかされるな!」

いつ気が付いたのか、シルエラが頭上から俺を見下ろし、叫んでいた。…いや、もしかしたら、気絶した『振り』をしていただけかもしれない。

「おうおうおう! 虎のゴミ共…名刀『螺旋』の力を見せてやる、かかって来やがれ!」

…成程、どうやらシルエラは。『螺旋』を餌に呂布を味方に付けたらしい。

「相変わらず、目先の欲望に駆られて行動するか…見下げ果てた男だな、呂布!」

「なに、張遼貴様!!?」

呂布の後ろに付き従っていた男が、突然呂布に切りかかった。呂布は突然の不意打ちに反撃も出来ず、胴体の辺りで、上下に両断される。赤い鮮血が辺りに飛び散り、吹き飛ばされた呂布の上半身は暫くの間びくびくと跳ね、やがてその動きを止めた。奴の顔には、驚愕の表情が刻まれている。いつの間にか、孫権たちは姿を消していた…。

「…張遼、お前。」

張遼の後ろにいた男が、張遼へと詰め寄る。

「欲望に溺れた養父殺しの呂布は死に、俺は今から、曹操様率いる鬼族の戦士となった。高順、お前はどうする? お前に恨みは無いが、邪魔をするならば…。」

張遼は高順に問い掛けるが、高順からの返事はない。代わりにと言うわけか、今度は俺に向かって話し始める。

「孔明、貴様はどうする? 貴様さえその気であるならば、今一度曹操様と共に、三族の融和を目指さぬか?」

張遼は凄まじい殺気を放ちながら話す。くそっ…つまりは、『服従』か『死』って訳じゃねえか! 俺は蛇に睨まれた蛙の様に、張遼の凄まじい殺気に気圧される。悔しいが、言葉を発することさえ出来ない。

「…張遼に、ついて行こう。」

高順が言葉を発し、張遼の意識が俺から逸れる。その瞬間、俺にかかっていた圧力が一気に消えた。同時に俺は、数時間の間息をしていなかったかの様に、激しく肩で息をした。その時、頭上からシルエラの声が聞こえて来た。

「子が親を殺し…部下は上官を殺す…。互いに騙し、殺しあう殺戮と混沌に満ちた乱世の世…覇者現れ、世界は一つとなりしも大儀は長く留まらず、巡り巡りて再び切れる…。」

意味深な言葉だった。それは、今しがた目の前で起こった張遼による呂布殺し、そして、張遼が言う、曹操による三族融和を意図している様だった。

「圭一よ、お主は諸葛亮などではない。佐久間圭一という人間は、佐久間圭一という人間にしかなれぬ。如何な英雄、魔王とて、その事実、曲げること叶わぬ。」

シルエラの声は、耳を経由せず、直接脳に響いていた。

「俺は…俺。」

「そうじゃ、お主は、お主でしかない。さぁ…目を覚ませ、佐久間圭一!」

その声を最後に、俺の意識は一気に途切れた。後に残ったのは、妙な浮遊感だった…。

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Kakurega Novel Ver.20060310
Written By 神剣士の隠れ家

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