悠久の刻のなかで

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「悠久の刻のなかで」は、「交易路ライゼン」で開催されるリレー小説です。

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「悠久の刻のなかで」インデックス

オリジナル版『悠久の刻のなかで』(継続中)
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編集版『悠久の刻のなかで・第一部』(全22頁)
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「ここは……どこ?」

気が付くと私は、広大な花畑の中に立っていた。周りには何も無い。あるのはただ、狂ったように咲き乱れる花々だけだ。

「私……一体……?」

頭がはっきりとしない。何故私は、ここにいるのだろう? 何故……。

「あ…。」

暫く歩いていると、前の方に何かの影が見えた。私は、何かに弾かれたかのようにそれの下へと走って行った。

「これは…。」

花畑の中には、人よりも少し大きいくらいの、一体の『糸繰り人形《マリオネット》』が横たわっていた。見覚えのある白銀の『糸繰り人形《マリオネット》』…それはまるで、私自身のように見えた。

「これは…『銀の大帝《シルバーエンペラー》』?」

ざぁっと、一陣の風が吹き抜けていった。花の中に埋もれるその人形は、何かを物語ろうとしていた。

「左腕が…無い?」

いつの間にか、目の前の人形から左腕が失われている。そして…私の腕も…。

「そうか、私…。」

おぼろげながら思い出して来た。私はついさっき、曹操という男に腕をもがれたのだ。

「私…。」

言葉に詰まる。『銀の大帝《シルバーエンペラー》』…父上と母上がその命を賭けて、曹操率いる鬼族と龍族の軍勢から、守り続けていた最高の至宝。それを私が、一時の憎悪に身を任せた結果、破壊してしまったのだ。

「くぅっ……。」

私はただ、呆然とその場に立ち尽くしていた。涙が止まらない。父母が命を賭けて私に託した最後の希望を…私は無にしてしまったのだ。

「!?」

突然、目の前に一本の刀が現れた。母上…鏡妃の忘れ形見『細雪』だ。虚空より現れた『細雪』を、残っている手で掴み、目の前で掲げた。一点の曇りも無い筈の名刀に、薄暗い『闇』が纏わり付いている

「…!」

突然、激しい感情が湧き上がって来た。遥か昔、永き眠りにつく前にたった一度だけ感じた感情…。

「父上、母上! 一体私に何をしろと言うのですか!? 17の歳で『銀の大帝《シルバーエンペラー》』の核と化し、人としての道を失った私に、一体どのような幸せを掴めと仰るのですか!?」

私は可能な限りの大きな声で叫んだ。しかし、当然のことながら、声は空の中に吸い込まれ、消えていった。

「うわああぁっ!!」

私は力の限り、『細雪』を地面に突き刺した。刀にあたっても仕方が無いのは十分解っている。しかし、私にはそれ以外の行動が思いつかなかったのだ。

「うっうう…うあぁ……!」

涙が止まらない。止めようにも、次から次へと溢れ出て来て、私の視界を覆う。私は傍らに佇む『銀の大帝《シルバーエンペラー》』に顔を埋め、ひたすら泣きじゃくっていた。

――――力に支配され、自分を失うくらいなら、俺は力なんていらねえ!

――――ひゅぅ…ありがたいね。もっとも…刀なんて使ったことないけどよ!

――――待ってろ、今助けるからな!

ふと、男の人の声が聞こえて来た。とても力強い、決して『諦める』という選択肢を選ばない男の人の声…。

「圭…一…?」

耳を澄ますと、彼の声が頭に響く…眼を閉じると、彼の顔が眼前に広がる…。

「そっか…私、彼が好きなんだ。私の幸せは、彼なんだ…。」

またも涙が溢れてきた。しかしそれは、さっきまでの様に、悲しみに支配された涙ではない。今流れ出る涙…それは、最高に幸せを感じさせてくれる涙だ…。私は目を開き、前を見据えた。いつの間にか花畑は消えてなくなり、目の前には愛しい人…圭一が立っていた。私が微笑みかけると、彼もまた、微笑んでくれた。

「あ…。」

不意に空間が歪み、彼の姿が闇の中へと消えていった。代わりに映し出されたもの…それは、曹操に左手をもがれ、為す術も無く吹き飛ばされる『銀の大帝《シルバーエンペラー》』の姿だった。

「圭一ーっ!!」

私が叫ぶと、不意に目の前が真っ暗になった。そして次に目覚めた時…私は人の姿へと戻っていた。

「う…うぅ……。」

「大丈夫か、シルエラ!」

すぐ横から圭一の声が聞こえて来る。瞼を開くと、圭一の背後で曹操が嘲笑っているのが見えた。

「シルエラ!」

「騒ぐでない…聞こえておるわ。」

私は、かつて左腕があった肩口を抑えながら立ち上がった。血は止まっているようだが、まだ少し痛む。

「大丈夫か……って、そんな訳ないよな…。」

彼は私の無くなった腕を見て、そう呟いた。

「心配はいらぬ。多少の痛みこそあれど、さしたる痛みはない。ただ…左腕はもう使えぬがな。」

私が勝手に『銀の大帝《シルバーエンペラー》』を暴走させた為に…圭一に迷惑をかけてしまった…。それどころか私は、愛する人を死の危険にまで晒してしまった…自分で、自分が嫌になる。

「圭一……。」

私は少し迷い、口を開いた。

「ん、なんだ?」

何の野心も抱かず、ただ私だけを思ってくれている彼の眼…私は一瞬とまどったが、何とかして決心が揺らがないように勤めた。

「逃げろ。」

「はぁっ?」

間の抜けた声をあげる圭一。当然と言えば当然の反応だ。でも…私は『あなたを死なせたくはない』……そんな気持ちを込めて、さっきよりも強い口調でもう一度言った。

「お主だけでも逃げろと言っておるのだ!」

私がそう言うと、彼は少し押し黙り、考え始めた。お願いだから逃げて…。私はそう思っていたが、彼からの返答は、私の願いとは反したものだった。

「やなこった。」

圭一はそう言うと、下まぶたを指で引っ張りながら、舌を突き出した。

「もともとこの戦いは、儂と曹操の因縁によるものじゃ…お主がこんなところで死ぬ必要はないのじゃ!だから…。」

「馬鹿かお前?」

私の言葉が終わらないうちに、圭一が口をはさんで来た。

「確かに付き合いは浅いし、これはお前と奴の問題なんだろうよ。だけどな、お前は俺の相棒だぜ? 相棒を…しかも女を、むざむざと死地に置いて逃げる程腐っちゃいねえよ。死ぬ時は…一緒だ。」

「……馬鹿者。お主はどうしようもない大馬鹿者じゃ、わざわざ自ら『死』と同義の道を選ぶなんて…。」

言いながら私は涙を流した。…そうか…私はもう、一人じゃないんだ…。

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Kakurega Novel Ver.20060310
Written By 神剣士の隠れ家

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